2025年11月21日
一般財団法人樫尾俊雄記念財団
カシオ計算機株式会社の創業者の一人で発明家の樫尾俊雄の元私邸であった樫尾俊雄発明記念館(東京都・世田谷区)が、2025(令和7)年11月21日に開催された文化審議会・文化財分科会において、登録有形文化財に登録するよう答申されました。正式登録後、国の登録有形文化財となります。
有形文化財とは、建造物、工芸品、古文書などの有形の文化的所産で、日本にとって歴史上、芸術上、学術上の価値が高いものの総称です。有形文化財の保護制度には、国が指定する国宝・重要文化財と、1996(平成8)年に創設され、所有者からの申し出に基づき登録する登録有形文化財があります。このたび樫尾俊雄発明記念館は、最初に建築された主屋が登録有形文化財に登録されることが決まりました。
樫尾俊雄発明記念館は、樫尾俊雄の私邸として1972年に建設されました。「国分寺崖線」という崖が連なる独特の地形に沿って主屋と増築棟が並んで建っています。主屋を上から見ると、樫尾俊雄のチャレンジ精神を象徴化した、鳥が飛翔する様をイメージした六角形の屋根が見えます。
主屋の俯瞰(館内展示模型)
館内には、エントランスホールの独自の曲線を描く螺旋階段や天井を彩るステンドグラス、隠し絵の入った仕切りガラスなど、隅々まで樫尾俊雄のこだわりがこめられたデザインが施されています。樫尾俊雄の難度の高い構想を、建築家の滝沢健児氏が主導して設計し、実現させました。
エントランスホールの螺旋階段
天井のステンドグラス
同館は2012年に樫尾俊雄が逝去した後、2013年より「樫尾俊雄発明記念館」として運営されています。樫尾俊雄が発明した、世界初の小型純電気式計算機「14-A」や科学技術用計算機「AL-1」のほか、樫尾俊雄の発明に関する語録や略歴を展示。樫尾俊雄の後を継いだエンジニアたちが生み出した「カシオミニ」などの歴史的製品も展示しています。
14-A(左下)を展示する「発明の部屋」
歴代の電卓を展示する「数の部屋」
展示されている歴史的製品のほか、ユニークな建物が話題になることも多く、建築メディアにもたびたび採り上げられています。